豪雨に包まれた皇子山総合運動公園陸上競技場。
全国社会人サッカー選手権大会1回戦、多度津FCと九州代表の三菱重工長崎SCが激突する。
試合開始とともに土砂降りの雨が選手たちを包み込む中、三菱重工長崎SCはロングボールを武器に、多度津FCの守備を揺さぶり続ける。
お互いに探り合うような緊迫した展開が続くが、前半25分、ついに均衡が破られる。
左サイドのボール処理が甘くなった隙を突かれ、相手の猛攻によりゴールを許してしまう。
スタンドは一瞬静まり返り、冷たい雨とともに重い空気が流れた。
しかし、多度津FCはすぐさま反撃に出る。2分後の27分、兄弟の絆が奇跡を呼び込んだ。
右サイドを突破した6番三原向平が放ったクロスに、10番三原圭太がまさにピンポイントで合わせた。
兄弟による完璧なホットラインが、まさに一瞬で試合の流れを引き戻す。
同点ゴールにより、前半は1-1で終了したが、戦いの火花はまだ消えていなかった。
後半、雨は小降りになったものの、試合の緊張感はますます高まる。
56分、再び三菱重工長崎SCがリードを奪う。左サイドからのクロスに対応しきれず、冷静にゴールを決められてしまった。
しかし、この試合の主役はまだその力を完全には見せていなかった。
運命の71分、再び試合は動く。
カウンターから13番福島凌が電光石火のスピードで右サイドを駆け上がる。
そして完璧なクロスを中央へ送る。そこに飛び込んできたのは、やはり10番三原圭太。
鋭いヘディングシュートがゴールネットを揺らし、再び同点に追いつく。
ピッチ上の全員が、その瞬間、三原圭太という男の存在感に圧倒された。
そして迎えた残り10分、勝利への渇望が多度津FCにさらなる力を与えた。
79分、怒涛の攻撃の中で、交代で入った33番宮本一貴がゴール前で輝きを放つ。
カウンターから14番梶山を経て、宮本が冷静にボールをゴール右隅へと流し込み、ついに逆転に成功!
ピッチは歓喜の渦に包まれ、まさに劇的な幕切れを迎えた。
そして試合終了のホイッスル。
後半アディショナルタイムの緊張感を乗り越え、多度津FCは全国社会人サッカー選手権大会において、初めての1回戦突破という大きな歴史を刻んだ。
この劇的な勝利を支えてくれた、遠方から駆けつけてくれたサポーター、そして雨の中でも配信を通して熱く応援してくれたすべての方々に感謝を込めて。
明日も、全力で戦い抜きさらなる勝利を目指します。